感謝とは真の他者貢献

感謝とは真の他者貢献

　私は、私たちが行うことができる、最も他者のためになる「他者貢献」とは「感謝」、「他者への貢献に喜びを感じることを助けること」に他ならないと確信する。

　その理由は、私たちにとってのあらゆる意味は社会的であるが故に、私たちにとっての有益さとは他者にとっての有益さにほかならず、それゆえに、最も有益なものとは「他者に貢献しようとする態度」であるから、感謝、すなわち、他者へ貢献することを励ますことは他者にとって、最高度に有益なものになるからだ。

　例えば、少なくとも、私が接してきた、いくらかの神経症の傾向を持つ人々は、他者に何かをもらい、見返りを要求されることを、おそらく無意識的であろうが、非常に恐れ、「他者に貢献している」と他者に認めさせようとするために神経をすり減らしていたように見えたとともに、そのような人たちに感謝を積極的に示すことは、彼ら、彼女らの精神から多大な緊張を取り除くことに成功したことが、彼ら、彼女らの問題行動の著しい減少から確かめられたと思う。また、深刻に神経症とは言い難いような人とのコミュニケーションにおいても、彼らから感謝を求めるのではなく、こちらから感謝を積極的に示すことは、彼らとの円滑な協同関係を発展させることに非常に役立つということは、少なくとも私は、経験的に確かめられているし、容易に予測できることであると思う。

　このように、私たちはしばしば、他者を信頼しきれず、他者に感謝することを恐れてしまうことがあるかもしれないが、こちらから積極的に他者に感謝することは、他者と私たちとの協同関係における、他者の緊張を大きく取り除くことを助けるので、結果的に、他者と私たちの有益な発展を助けるのである。 また、その様にして、私たちの寂しさなどの様々な感情を感謝のために役立たせることが大切だということもわかる。

読んでくれて、ありがとう。