Daikiの哲学日記

 当たり前だけど、大切なことを見落とさないように、文章を書いています。

感情の同化の危険性

感情の同化の危険性

 

 私は、私たちの一部がしばしば、「他者と同じような感情を持つ」ことを提唱していることを知っているが、私たちが実際に、積極的に、他者と協同関係を結び、豊かな社会生活を送るためには、他者と自身の感情を安易に同化させないことが非常に大切であると思う。

 その理由は、私たちが、他者が友好的な感情の兆候を示していると認識しているときは、感情の同化によって、こちらも友好的になりやすいので、協同関係を結びやすいかもしれないが、他方、他者が敵対的な感情の兆候を示していると認識できるときには、感情の同化によって、こちらも敵対的になってしまうので、他者と自身との溝がますます大きくなり、協同関係が破たんしてしまうからだ。

 例えば、二人の人が会話をしていて、ちょっとしたことで、一方が不機嫌になると、他方も同様に、不機嫌になってしまうことがあるだろう。(こういう場合は、私たちが、しばしば、感情の同化を教唆されているせいか、まったく問題のないようなことに思えてしまう側面を持っていると思うが、他者と無益な争いをすることなく、積極的に協同していくことに価値を見出している人は、決して、他者が不機嫌に見えたとしても、友好的な姿勢を崩さないことは明白である。)

 このように、確かに、他者がどのような感情を持っているかを推し量ることは、他者と協同していくために、不可欠な精神活動の1つであろうが、他者と協同的な関係を結び、私たちと他者との間の緊張を取り除くには、安易に他者と同じ感情を持とうとするのではなく、他者が不機嫌な、敵対的な兆候を示したとしても、真逆の感情、すなわち、友好的な、他者を尊重する類の感情を持つべきである。

 

読んでくれて、ありがとう。